讃岐彫名品、初お目見え 高松 70年ぶりに発見、石井磬堂の硯箱
高松市出身で讃岐彫の名工と称された、石井磬堂(けいどう)(1877~1944年)の硯箱(すずりばこ)を初公開する展覧会「石井磬堂・音丸耕堂展」(県立ミュージアム、県漆芸研究所主催)が27日、同市番町の県文化会館で始まった。硯箱は磬堂の代表作の一つで、同ミュージアム所蔵の手箱とセットで存在が知られていたが、戦後所在不明に。2016年に東京都のギャラリーで発見され、同ミュージアムが同ギャラリーから19年度に購入、約70年ぶりに手箱とひとそろいになった。同展は8月21日まで。
硯箱「狭貫彫(さぬきぼり) 堆朱(ついしゅ)硯箱」は何層にも塗り重ねた朱漆に彫刻を施した作品。高松松平家の調度品として1926年に制作され、ふたには鳳凰(ほうおう)と太陽、菊などが施されている。側面に彫り込まれた葉には虫食いの跡までが表現されており、磬堂の高い技術を見て取ることができる。対となる手箱には桐(きり)の枝で羽を休める鳳凰や昆虫の姿が見える。
同ミュージアムによると、手箱とそろうことは香川漆芸において意義があるとして約700万円で購入。収蔵を記念して、手箱と併せて初公開することになった。同展ではほかに、硯箱の下図など15点を紹介。磬堂から弟子の音丸耕堂(重要無形文化財保持者)につながる彫漆の系譜を解き明かしている。
観覧無料。問い合わせは県漆芸研究所〈087(831)1814〉。
香川県県文化会館
所在地 | 香川県高松市番町1-10-39 |
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TEL | 087-831-1814 |