5日に開幕する第37回四国こんぴら歌舞伎大芝居(香川県仲多度郡琴平町、同大芝居推進協議会主催)に向けて、食品メーカーの永谷園が町に、舞台を彩る特別な引幕(ひきまく)「祝幕(いわいまく)」を寄贈した。3月29日には同町の旧金比羅大芝居・金丸座で設置作業があり、ボタンの花を描いた華やかな幕がお目見えした。


こけら落としに合わせて寄贈された祝幕=香川県仲多度郡琴平町、金丸座


 歌舞伎の引幕には通常、黒、柿、もえぎの3色による「定式(じょうしき)幕」を使用するが、役者の襲名披露などに合わせて特別に祝幕が作られることがある。商品パッケージに定式幕のデザインを取り入れるなど歌舞伎と縁深い同社が、改修工事を終えた金丸座のこけら落としと5年ぶりの公演再開を祝って寄贈した。
 祝幕は高さ約6メートル、幅約15メートル。日本画家で文化勲章受章者の故松尾敏男氏の作品「富貴花苑(ふうきかえん)」を、金丸座のサイズに合わせてアレンジした。1988年に同社が歌舞伎座(東京)に緞帳(どんちょう)を寄贈した際に作成した絵柄で、紅白のボタンが大きく花開いている。
 祝幕は、午前、午後の部の開演前に観客に見てもらう。金丸座での祝幕の使用は、第29回公演(2013年)で襲名披露を行った市川猿之助さんに、歌手・俳優の福山雅治さんが贈って以来。町に寄贈されたのは初めて。
 町は「金丸座の雰囲気に合った素晴らしい祝幕をいただいた。観客にも喜んでいただけると思う」と感謝した。絵柄は今公演の入場券にも採用した。
 公演は5~21日(11日は休演)。入場券は町役場の事務局で販売している。問い合わせは事務局〈0877(75)6714〉。

(四国新聞・2024/04/01掲載)


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