香川県坂出市櫃石にアトリエを持つ日本画家・福王寺一彦さんの作品展「いのりのとき」が、同市寿町の坂出市民美術館で開かれている。昨年、高野山金剛峯寺(和歌山県)に奉納された8枚のふすま絵など、福王寺さんの多彩な創作活動を垣間見られる貴重な機会となっている。9日まで。


高野山金剛峯寺に奉納された8枚のふすま絵など、福王寺一彦さんの作品を間近で鑑賞できる作品展=香川県坂出市寿町、坂出市民美術館

高野山金剛峯寺に奉納された8枚のふすま絵など、福王寺一彦さんの作品を間近で鑑賞できる作品展=香川県坂出市寿町、坂出市民美術館


 福王寺さんは幻想的な風景画で高く評価され、1978年に院展初入選。2001年には日本芸術院賞を受賞し、10年に日本芸術院会員となった。10年以上前から、文化庁の事業で坂出市の児童を対象に絵画教室を行うなど縁があり、21年に旧櫃石小学校にアトリエを構えた。
 市内初開催となる個展には37点を出展。弘法大師生誕1250年の昨年、高野山金剛峯寺に奉納したふすま絵(1枚縦210センチ、横130センチ)は、青い海と空に桜や梅といった1250個の花、月の満ち欠けなどを描いて輪廻(りんね)転生を表現した。21年11月から22年3月にかけて首相官邸に飾られた「三日月」、川と森を照らす月の光が印象的な代表作の一つ「山河月光」などのほか、福王寺さんが高校時代に描いた抽象画も並んでいる。
 福王寺さんは「櫃石は私にとって第二の故郷。素晴らしい環境の中で描いた作品を香川の人たちに見ていただきたい」と話している。
 入場無料。月曜休館。6、7両日の午後2時から福王寺さんによるギャラリートークがある。

(四国新聞・2024/04/03掲載)


坂出市民美術館



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