日本工芸会四国支部(支部長・琴陵泰裕金刀比羅宮宮司)などが主催する公募展「第66回日本伝統工芸四国展」が3日、香川県高松市内町の高松三越新館5階催物会場で始まった。四国の作家らによる漆芸や陶芸、木竹工など7部門の秀作が並び、現代的な感性と美を伝えている。8日まで。


現代的な感性が光る力作に見入る来場者=香川県高松市内町、高松三越

現代的な感性が光る力作に見入る来場者=香川県高松市内町、高松三越


 同展は地域の工芸文化の発展を目的にとして1958年から毎年開催。これまで「伝統工芸四国展」として開いていたが、今回から名称変更した。同支部会員30人と一般20人から計84点の応募があり、このうち入賞・入選作79点を展示している。県内からは45人の74点が入選した。
 最高賞の磯井如真賞には、高松市の漆芸家佐々木博さん(66)の「乾漆蒟醤存清箱(かんしつきんまぞんせいばこ)『彩雲(さいうん)』」が選ばれた。赤や青など6色ほどの色漆を使って春の淡い空模様をあしらい、中央にはツバメの夫婦を浮き立つように配置。春空の情景を巧みにデザインした点が高く評価された。
 人材育成を目的にした太田儔賞には、同市の若槻万里奈さん(26)の「彫漆香合『野分立(ちょうしつこうごうのわきだ)つ』」を選出。台風前の暗い雲の隙間から見える薄明かりを濃い青と黄色のグラデーションで表現している。
 ほかの入賞者は次の通り。(敬称略)
 漆芸=石川七瀬(高松市)、山下亨人(同)、十河篤志(さぬき市)▽陶芸=栗原慶(徳島県)藤沢徳雄(三木町)、平岡朋美(高松市)、植村照男(さぬき市)▽諸工芸=藤井哲信(徳島県)

(四国新聞・2024/04/04掲載)



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