洋画家猪熊弦一郎(1902~93年)が米ニューヨーク時代に撮影した映像を紹介するコレクション展「フィルムと絵画」が、香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。アトリエなどの窓越しに撮った動画が並び、猪熊が興味・関心を寄せた対象やモチーフを想像することができる。6月2日まで。


猪熊弦一郎が撮影した映像を紹介するコレクション展=丸亀市浜町、猪熊弦一郎現代美術館


 猪熊は55年に渡米してから約20年間にわたってニューヨークを拠点に活動。その際に撮影したとされる8ミリフィルムが数多く残されており、同館が近年デジタル化を進めている。コレクション展は映像を通して猪熊が現地で興味を持った対象や、それらが作品に与えた影響について知ってもらおうと企画した。
 会場では16本の映像(各5分程度)を4つのモニターで紹介しているほか、映像と関連した絵画作品約40点を展示している。
 このうち、イースター(復活祭)でにぎわう街の映像は、花などで豪華に装飾した女性の帽子を重点的に撮影している。特に目立つのは、アトリエの窓や走行中の車窓越しに撮った映像で、通りでくつろぐ人々や建築物などさまざまなものが見られる。
 会場には窓を想起させる四角や丸を組み合わせた抽象画も紹介。担当学芸員は「窓は開くことで新しいものが入ってくるイメージがあり、猪熊にとって大切なモチーフだったのでは」と話している。
 入場料は一般300円ほか。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。

(四国新聞・2024/04/11掲載)



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