科学の見識を生かして独自で開発した釉薬(ゆうやく)を用い、「輝き」をテーマにセラミック作品を制作している石川県出身の現代美術家・中村元風さん(68)の個展が、5月15日から香川県高松市内町の高松三越新館5階催物会場で開かれる。個展を前に中村さんが同市番町の四国新聞社を訪れ、作品に込めた思いなどを語った。


「心が輝くようなものを作り続けたい」と語る中村さん=高松市番町、四国新聞社


 中村さんは金沢大大学院理学研究科卒。陶芸家の祖父の下で修業に励んだ。2011年には約30年の素材の研究を経て、光沢と厚みのある深紅の釉薬「希赤(きせき)」を生み出した。欧米や中国など海外にも多く出展し高い評価を得ている。今展では希赤を用いた作品や、生命感あふれる輝きが特徴の「オーロラ」シリーズなど約70点を出品する。
 東日本大震災当日の同年3月11日に完成した希赤は、赤で日本に希望をもたらしたいとの思いで名付けたという。中村さんは「能登半島地震を受けて当時のことを想起した。作品を通じて人を元気づけたいという気持ちがより強くなった」と力を込める。
 人とアートが対等に向き合える作品づくりをモットーにしているといい「心が輝くようなものを作り続けたい。幅広い世代が楽しめる個展なのでぜひ足を運んで」と呼びかけた。
 個展は5月20日まで。

(四国新聞・2024/04/11掲載)



関連情報