香川県高松市特産の松盆栽をテーマにした映画「けっこい盆栽」が5月23日に高松市で公開される。地方創生をテーマに映画を手がける大橋孝史監督の新作で、主要人物にAKB48の行天優莉奈さん(観音寺市出身)と故大平正芳元首相(同)のひ孫・大平ひかるさんを起用した。4月上旬、撮影現場の一つ高松市鬼無町の盆栽園を訪れ、大橋監督に見どころや狙いを聞いた。


インタビューに応じる大橋監督=香川県高松市鬼無町、中西珍松園


 ―作品の見どころは。
 行天さんが担当する盆栽大好きな少女美咲と、大平さんが演じる100年以上続く盆栽園の娘・葉月が物語の軸。夢に向かって突き進む美咲と、盆栽を良く思っていない葉月が成長する姿を描いている。ロケは美咲の出身地という設定の女木島をはじめ、栗林公園や屋島山上など、高松の美しい風景の中で行った。桜が咲く時季と重なったのもうれしい偶然。うどんや骨付鳥など香川のグルメを登場させた。
 ―なぜ盆栽をテーマに。
 高松の盆栽は海外で注目を集めているが、地元の若者には知名度が低いと感じたのが理由。作品を通して「盆栽はお年寄りが楽しむもの」というイメージを変えたい。若い世代が地元の盆栽文化に誇りを持つようになれば、生産者の事業継承にもつながる。


映画の撮影に臨む行天さん(左)と大平さん=同


 ―全国で地方創生を目的に映画を製作している。
 数年前に熊本県の自治体の依頼でPR動画を作ったのがきっかけ。ふるさと納税がアップするなど地元の人が喜ぶ姿にやりがいを感じた。それ以降、観光振興や地域活性化を目的に映画製作を続けている。登場人物には撮影地ゆかりのアイドルらを起用しているのも特徴だ。
 ―今作をどう発信する。
 12月に東京・秋葉原で私が企画するご当地映画のイベント「ふるさと映画祭」で上映する。この映画祭は外務省の協力で米ロサンゼルスでも開催が決まっており、今後アジアの国々にも働きかけたい。今作は日本各地の映画祭にも出品する予定で、国内外の人に見てもらえる。
 ―県民へ一言。
 今ある地域資源を次世代に残したい。作品を通じて日本の未来を元気にする意識を共有してもらえたらうれしい。

 おおはし・たかふみ 1974年生まれ。埼玉県出身。映画「父と暮せば」、実写版「火垂るの墓」でプロデューサーや企画を担当した。

(四国新聞・2024/04/22掲載)


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