瀬戸の絶景、一棟貸し さぬき・松尾集落に誕生 地域に人を 住民期待
11世帯15人などが暮らす香川県さぬき市津田町津田の松尾集落。ここに昨年末、オーシャンビューが楽しめる一棟貸しのホテルがオープンした。建物の意匠などに集落の住民の意見を取り入れ、共に造り上げてきた。観光シーズンを前に行われた内覧会で、住民はホテルが新たな人の流れを生み出し、集落を活性化させる宿泊施設となるよう願った。
手がけたのは高知県内でホテル・宿泊業などを展開する合同会社とまり木(高知市)。松尾海岸からつながる斜面の約3300平方メートルに、間取りの異なる3棟を整備して昨年12月から営業を始めた。総事業費は約8千万円。
同社の篠田善典代表によると、同所を訪れた際に目の前に広がる瀬戸内海に引かれ、初めての県外展開を決意。スタッフも集落に移り住んで、雑木林や荒廃地を住民らと一緒に開墾しながら、かつてはかんきつ類の栽培が盛んだったことや、住民の数がどんどん減っている現状などを学んでいった。
住民しか知り得ない朝日がきれいに見える角度などを3棟の意匠に採用。全棟オーシャンビューで、ダイニングキッチンやバスルーム、ロフトなどを備えており、室内からはかんきつ類の樹木を見ることができる。松尾海岸までは歩いて1分ほど。
施設名は集落に人を呼び込み、見守る場所にしたいとの思いを込め、「mimoro(ミモロ)」と名付けた。同社によると、早速、宿泊客と住民との間に交流も生まれているという。
住民や関係者を招いた内覧会は11日に行われ、同集落で暮らす漁業山中さんは「どんどん人が減っていた場所に若い人が入ってきてくれてうれしい。今後も交流の機会が増えることを楽しみにしている」と笑顔。篠田代表は「カフェの開設など集落、地域との関わりを今後も創出したい」と話した。
3棟はそれぞれ4人まで宿泊することができ、価格は1泊4万2千円~。問い合わせは〈070-9245-6244〉。
(四国新聞・2024/04/23掲載)