国立公園の自然豊かに 東山魁夷美術館、6月16日まで
香川県坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で、日本画家・魁夷が描いた風景画の中から全国の国立公園に関連する作品を紹介する第1期テーマ作品展が開かれている。瀬戸内海国立公園の指定90周年を記念して企画。豊かな自然を独自のタッチで表現した魁夷の真骨頂が堪能できる。6月16日まで。
展覧では、北海道の「大雪山国立公園」から熊本県の「阿蘇くじゅう国立公園」まで、全国の国立公園に関連する風景画25点を展示している。
瀬戸内海国立公園からは、岡山県の鷲羽山から見た瀬戸内海を描いた「朝の内海」(1959年頃)を紹介。手前側に魁夷の祖父が生まれ育った櫃石島(坂出市)、その奥に丸亀市の本島や広島などを捉えており、薄暗い色合いから海の静けさが伝わってくる。78年に櫃石島などを訪れた魁夷を撮影した写真もあり、香川とのつながりが見て取れる。
このほか、青森県の海岸沿いがモチーフの「道」(リトグラフ)や、中部山岳国立公園内(長野、岐阜など)の森林を描いた作品が並び、心洗われる空間が広がる。
同館は「作品を鑑賞した後はラウンジから瀬戸の多島美を眺めて、魁夷のルーツに思いをはせてもらえたら」としている。
入場料は一般310円ほか。6月1、15日のいずれも午前11時から学芸員による作品解説がある。問い合わせは同館、電話0877(44)1333。