サンポートホール高松の開館20周年記念事業「松竹特別歌舞伎」(高松市文化芸術財団、高松市主催、四国新聞社共催)が7月23日、同ホールで行われる。歌舞伎俳優の中村獅童と初代中村陽喜(はるき)を襲名した長男との親子共演が見どころの一つ。東京都内で開かれた記者会見で獅童は「歌舞伎をより身近に感じてもらえたら」と家族連れでの来場を呼びかけた。

 特別歌舞伎は「六月大歌舞伎」(東京・歌舞伎座)に続く親子共演。親子巡業は初めてで、高松のほか全国21会場を6月30日から約1カ月かけて回る。
 今回は2022年の巡業で好評だった「中村獅童のHOW TO かぶき」で幕開き。獅童が「ご当地ネタ」などで客席とやりとりをしながら、歌舞伎ならではの表現方法や約束事を解説するほか、化粧をし、衣装を身にまとい、かつらを着け、役に近づいていく過程を紹介し、歌舞伎を身近に感じてもらう。
 続いて沢村国矢らによる「鞘當(さやあて)」、中村種之助による「供奴(ともやっこ)」を上演。最後の演目は武蔵坊弁慶と牛若丸(後の源義経)が初めて出会う場面を描いた舞踊「橋弁慶」で、弁慶を獅童、牛若丸を陽喜が演じる。「鞘當」の見どころは歌舞伎の色彩美と様式美、「供奴」は三味線に合わせた軽快な踊り、「橋弁慶」は勇猛な弁慶が優美な牛若丸に翻弄(ほんろう)される立ち回りだ。
 「橋弁慶」は今回の巡業が決まる前から陽喜が舞踊家の藤間勘十郎に稽古をつけてもらっている舞踊。獅童は「陽喜の大好きな踊りになっていたから演目に決めた」と打ち明け、「6月から舞台は続くが、のびのびと元気よく演じてくれれば」と親心を見せた。
 獅童は「歌舞伎は難しいイメージがあるけれど、少しでもいいと思った時は拍手をしたり、面白ければ笑ったりして、自由に見てほしい。陽喜が出ていることで、小さなお子さまにも歌舞伎に興味を持ってもらえたらうれしい」と巡業への意気込みを語った。
 開演は午後1時半(開場は同0時半)。3歳以下は入場できない。チケットなどの問い合わせはサンポートホール高松、電話087-825-5010。

(四国新聞・2024/06/06掲載)


サンポートホール高松



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