香川県さぬき市が市北部に位置する大串半島の活性化に向けて整備していた飲食施設「時の納屋」(同市小田)が完成し、23日にプレオープンイベントが開かれた。交流サイト(SNS)で多数のフォロワーを持つ県内の「インフルエンサー」らが招待され、瀬戸内海の景観を眺めながら地元食材を使った料理などを一足早く満喫した。オープンは30日。


県内で活動するインフルエンサーを招いて実施したプレオープンイベント=さぬき市小田、時の納屋

県内で活動するインフルエンサーを招いて実施したプレオープンイベント=さぬき市小田、時の納屋


 施設は「市SA公社」が指定管理を担う。コンセプトは「主役は建物ではなく環境と景観」とし、大串自然公園芝生広場エリアにある旧大串温泉跡地に建設。四国霊場31番札所・竹林寺(高知市)の納骨堂を手がけ、2016年の日本建築学会賞(作品)を受賞した建築家の堀部安嗣さんが設計した。
 建物は木造地上1階地下1階建て、延べ床面積は約200平方メートル。採光と換気のため中央の一部が盛り上がった越屋根を設け、利用者から見えない位置に太陽光発電パネルを設置。外壁などにはスギを使用し、屋根は瓦ぶきとした。総事業費は約3億1200万円。
 軽食を提供するカフェスペースは大きな窓を備えた開放的な空間で、食事をしながらオーシャンビューが楽しめる。隣接する小間を含めると最大30人程度が利用可能という。


大串半島の活性化に向け完成した「時の納屋」

大串半島の活性化に向け完成した「時の納屋」


 この日は、時折雨の降るあいにくの天気だったが、インフルエンサー12人が参加。窓際のテーブルに案内され、瀬戸内海の風景を早速スマートフォンなどに収めていた。香川産の器や食材を使った「桶(おけ)のおむすびランチ」などが提供されると、さまざまな角度で料理の写真を撮影したり、料理越しの瀬戸内海の風景を動画にしたりしていた。
 東讃地域でフリーペーパーを発行し、SNSでも情報発信している福光智宏さん(41)=東かがわ市白鳥=は「建物は雰囲気があって、眺めが素晴らしい。地元の食材を使った料理もおいしくて満足。今度は晴れた日に訪れたい」と笑顔。同施設の満濃孝所長は「大串半島活性化の起爆剤として、愛される施設にしていきたいし、オープンの30日には多くの人をお迎えしたい」と意気込んだ。
 30日は午前9時半からオープニングセレモニーを実施。バイオリンによる記念演奏などを行った後、午後1時から通常営業を開始する。

(四国新聞・2024/06/24掲載)


時の納屋



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