自然の音、絵画に込め 塩江美術館で渋田薫展 来月21日まで
風や波などの自然の音や訪れた土地での体験をモチーフに絵画を手がける現代美術家・渋田薫(北海道出身)の個展「Sea Sky Nature」が、香川県高松市塩江町の市塩江美術館で開かれている。フランスの景勝地をはじめ、国内の豊かな自然風景から着想を得た約30点が並び、作家の研ぎ澄まされた感性が感じ取れる。7月21日まで。
渋田はこれまで京都府を拠点に国内外で作品を発表。塩江町が舞台の「山なみ芸術祭」に参加したことなどをきっかけに瀬戸内の穏やかな海に魅せられ、4月から香川を拠点に制作している。15年程前から音などを絵で表現する半抽象的な手法に取り組み、「頭の中で音のイメージを膨らませ、楽譜を作るように描いている」と明かす。
3章構成の展覧会の第1章は、同館のコレクションで同町出身の画家熊野俊一(1908~2005年)が手がけたセーヌ川やマッターホルンの絵がモチーフ。フランスの風景が音符のような形や豊かな色彩とともに再構築され、まるでキャンバスがリズムを刻んでいるかのよう。自身が現地を旅した経験と重ね合わせ、1年半かけて構想を練った力作だという。
第3章では日本各地で取材した作品を紹介。「風波の舞踏」は福岡県の離島で体験した神事の舞や浜辺の波から受けたインスピレーションを基に、躍動感あふれる大作(縦1・8メートル、横7・2メートル)に仕上げている。渋田は「各章ごとにリズムやスピード感に違いを出した。作品と塩江の自然との調和も楽しんでほしい」と話している。
同館の開館30周年記念展の第2弾。29日午後2時から渋田による展示解説がある。入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。
(四国新聞・2024/06/27掲載)