墨と写真で「瞬息の世界」 樋笠さん、高橋さん2人展 高松
香川県善通寺市の墨アーティスト樋笠幸三さん(84)と香川県丸亀市の写真家高橋章さん(73)の2人展が2日、香川県高松市紺屋町の市美術館市民ギャラリーで始まった。「筆を走らせるのも、シャッターを切るのも一瞬の出来事」という思いから「瞬息の世界」と名付けた初の展覧。共作したオブジェなどの作品群が来場者を楽しませている。7日まで。
樋笠さんは墨の強弱などで絵画のような作品を制作することで知られ、自在な筆遣いで独自の世界観を展開。高橋さんは美術館の収蔵品撮影や県の観光ポスターなどを手がけ、イサム・ノグチや猪熊弦一郎ら著名な芸術家の作品撮影も行ってきた。
オブジェは5点あり、主に黄・赤・青の塗料を用いて漢字や線を描いたプラスチック板を組み合わせている。このうち「龍神」は、樋笠さんが「風」「雨」「河」などの言葉をとがった形の白いプラスチック板約20枚にしたため、これを高橋さんが造形。竜が空に昇っていくさまを表現しており、挑戦し続ける2人の勢いが感じ取れる。
このほか、高橋さんは朽ちていく壁や葉が生い茂った家など身の回りにある風景を撮影した52点を展示している。樋笠さんは「異色のコラボレーションを堪能してほしい」と来場を呼びかけている。
(四国新聞・2024/07/03掲載)