金刀比羅宮、国の重要文化財に指定 本宮など12棟、正式告示
金刀比羅宮(香川県仲多度郡琴平町)の本宮や別宮など12棟の社殿群が15日、国の重要文化財に指定され、同日付の官報で告示された。明治初頭の神仏分離で仏教色を排し、神社として再興するため境内を再編しており、明治政府の宗教政策への対応を示す貴重な事例。社殿には独自の意匠が施され、渡り廊下など一連の施設と共に優れた景観を形成していることも評価された。
香川県内の重文(建造物)は32件目(65棟)で、2022年の鍋島灯台(坂出市)以来。同宮では、江戸時代に建てられた奥書院や旭社など3件が指定されているが、明治以降の建造物は初めて。
今回答申されたのは「本宮本殿・中殿・拝殿」「本宮神饌殿(しんせんでん)」「本宮直所(じきしょ)」「別宮本殿・中殿・拝殿」「別宮神饌殿」「別宮直所」「祓所殿(ばつじょでん)」「南渡殿(みなみわたどの)」「神楽殿」「御炊舎(みかしぎしゃ)」「神輿(しんよ)庫」「神庫」の計12棟。いずれも1874~78(明治7~11)年に建てられた。
金刀比羅宮はかつて「金毘羅大権現(こんぴらだいごんげん)」として神仏混交の寺院でもあったが、神仏分離令から神社として再興。本殿には仏教色を廃した素木(しらき)造りを採用、天井には蒔絵(まきえ)で桜の模様を施すなどしている。
同宮は「重要建造物を一層大切に守っていくと同時に、その歴史的な価値や文化財としての魅力をより広く知ってもらえるよう、今後も努力していく」としている。宝物館では9月30日まで、特別企画展「金刀比羅宮御本宮 明治時代神社建築の魅力」を開催中。建築図面や棟札、蒔絵が入った天井板など約40点を展示している。
(四国新聞・2024/08/16掲載)