竹と漆 緻密で華やか 県漆芸研で籃胎展 来月8日まで
竹ひごを編んで素地を作る「籃胎(らんたい)」を取り上げた作品展「籃胎展―網代(あじろ)の美しさに魅せられて―」が、香川県高松市番町の県漆芸研究所で開かれている。香川漆芸を代表する作家たちの作品や海外の漆器、工程見本を紹介。緻密な網代の編み目と色彩豊かな文様が来場者の目を引きつけている。9月8日まで。
同研究所によると、籃胎に漆を塗って蒟醤(きんま)で加飾した「籃胎蒟醤」は中国やタイ、ミャンマーといった東南アジアにルーツがある。日本では香川漆芸の祖・玉楮象谷が取り入れ多く作られるようになったが、電動ろくろなどの導入で木製素地が普及。明治の終わりには製法が途絶えていた。
蒟醤の重要無形文化財保持者(人間国宝)だった太田儔(1931~2019年)が1955年以降に籃胎の復興へ研究を重ね、独自の技術を昇華させた。会場には太田をはじめ、妻の加津子、明治時代の漆工藤川蘭斎ら4人の作品6点のほか、大谷早人らの制作工程見本などを展示している。
このうち、ハンミョウがモチーフの太田による「籃胎蒟醤香盒(こうごう)「道しるべ」(2012年)は、漆を4回塗った1・5ミリの竹ひごを細密に編み込んで素地に使用。ふたを開けると、美しい網代の編み目が目に飛び込んでくる。
また、籃胎素地工程見本のコーナーでは、竹ひごや網代の成形に使う木型作りから、漆を塗るまでの制作の流れを実物を用いて説明。同研究所主任技師の辻孝史さんは「籃胎の制作工程を知って、より漆芸の奥深さを感じてもらえたら」と来場を呼びかけている。
入場無料。問い合わせは香川県漆芸研究所、電話087-831-1814。
(四国新聞・2024/08/16掲載)