香川県立ミュージアムの秋の特別展「美術を探求 ギモンにせまる」が14日、香川県高松市玉藻町の同ミュージアムで開幕する。同館収蔵の近現代コレクションから猪熊弦一郎、藤川栄子ら香川ゆかりの作家やルオー、ピカソといった海外作家の約50点を展示。新たな鑑賞のヒントとして、素材・技法・題材を提案し、さまざまな角度から作品の魅力を探る。会期は11月10日まで。


藤沢章「シャリー(シーワ・オアシス)」


 素材の観点では、高松市出身の藤沢章による「シャリー(シーワ・オアシス)」を例示。土砂でできたエジプトの要塞を描いた作品は、絵の具に現地の砂を混ぜ込んで使い、ざらりとした質感を出していることを紹介している。また、ジョルジュ・ルオーの「モニック」は、絵の具を大胆に盛り上げることで、レリーフのような立体感が出ていることが分かる。
 技法では、三木町出身で型絵染の重要無形文化財保持者(人間国宝)鎌倉芳太郎による「型絵段染山水文上布長着」を展示。型紙を使い、切れ目が分からないほど緻密に繰り返しの文様を染める技法について解説している。


鎌倉芳太郎「型絵段染山水文上布長着」撮影:高橋章


 題材では、田中岑(たかし)が描いた「塩田最後の日」を紹介。実際に塩田で使われた道具なども展示しながら「作家はなぜ、この題材を取り上げたのか」に迫ってゆく。このほか、池田勇八の彫刻作品「ユーターピー」、藤川栄子の「シュークリームのある静物」などを展示。疑問を手がかりに、さまざまな角度から作品の原点をひも解き、来場者に新たな魅力を発見してもらう。
 入場料は一般500円ほか。問い合わせは香川県立ミュージアム、電話087-822-0002。

(四国新聞・2024/09/13掲載)



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