香川県丸亀市の洋画家、水沢正信さん(86)が10月20日から高松市番町の県文化会館で、8回目となる個展「“LAST”exhibition 命のかけらを塗り込めて」を開く。今回は源平合戦の舞台でもある屋島を描いたシリーズを中心に、これまでの代表作も紹介。新聞記者を定年退職後、四半世紀にわたって取り組んできた研さんの集大成を披露する。11月14日まで。


「画業の集大成を見てほしい」と話す水沢さん=香川県丸亀市内の自宅アトリエ

「画業の集大成を見てほしい」と話す水沢さん=香川県丸亀市内の自宅アトリエ


 水沢さんは、幼少の頃からの夢だった画家を目指して定年後の60歳で上京。四谷美術研究所に通い、日本を代表する洋画家の故塗師祥一郎さんに学び、岡田忠明さんに師事して研さんを積んだ。銀座でのグループ展や個展に出品し、公募展で受賞を重ねたほか、欧米諸国でも画家との交流を通じて技術を磨いてきた。
 今回は200号の大作を含む油彩画約40点を展示。新作や香川で未発表の作品を中心に、過去の代表作やドローイングも並び、画業の流れを一望できる構成となっている。
 メインの屋島シリーズは「怨念の海」がテーマ。源平の古戦場を海側から眺め、朝焼けや月夜など五つの作品に仕上げた。このうち「金環日食」(2024年、縦60センチ、横72センチ)は、平家最後の勝ち戦「水島の戦い」で現れたという金環日食が題材。細い線を幾重にも重ね、闇夜に染まる屋島の空と海を透明感のあるタッチで表現している。


新作の「金環日食」

新作の「金環日食」


 平家の落ち武者集落の冬景色を描いた大作や古都の四季、欧州の風景などの労作も見どころ。さらに、国内や欧米諸国で手がけたドローイングの中から完成品につながったものも紹介する。
 今回のテーマについて「一見穏やかに見える瀬戸内海には、かつて散っていった人々の情念や壮大なドラマが眠っている。その空気感を絵にすることが私にとってのレクイエム」と説明。個展を直前に控え「生命をかけて取り組んできた画業の集大成をぜひ観覧し、講評してほしい」と話している。
 入場無料。問い合わせは同展事務局、電話080-5412-7428。

(四国新聞・2024/10/02掲載)



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