神秘的な造形の世界 林巌石(三木)作品展 14日まで・高松
香川県木田郡三木町の彫刻家林巌石(76)=富山県出身=の作品展が、高松市上林町の大西・アオイ記念館で開かれている。旅で見かけた風景や宇宙をイメージし創造力豊かに制作した作品などが展示され、洗練された空間が広がっている。14日まで。
林は19歳のころ、香川を訪れた際に讃岐彫に魅了されたのをきっかけに、讃岐彫の名工といわれた故斉藤銀銭の下で腕を磨いた。彫刻家の速水史朗との出会いを機にシンプルな作風へと変遷、約40年前から展覧会へ出品を続けている。2015年に富山県展大賞、22年に香川県展知事賞、翌年には高松市民美術展で最高賞に当たる市長賞を受賞した。
本展では各展覧会の受賞作品や讃岐彫のついたてなど約20点を紹介。ベイマツを彫って制作した「い・の・り(阿吽)」は、合掌の様子を表現し、上部には宇宙をイメージした白い円形のオブジェを配置。距離を取って鑑賞するとオブジェが浮いているように見え、神秘的な空間を生み出している。
けさに身を包んだ仏と弟子の姿を彫刻で表した「□・○・▽(仏法西還)」や、新潟県を旅した時に見かけた、船上で髪をなびかせる女学生たちの姿をイメージした「潮騒の姉妹」なども来場者の目を引いている。
林は「どの作品にも命が吹き込まれている。自分の気持ちが伝われば」と話している。入場料は100円ほか。問い合わせは大西・アオイ記念館、電話087-880-7888。
(四国新聞・2024/10/03掲載)