細川林谷記念館、きょうオープン 市民の文化拠点に さぬき 篆刻教室も
さぬき市が同市寒川町で整備していた新たな文化施設「細川林谷記念館」が完成し、5日に同館で記念式典や展示解説、地元児童を対象にした篆刻(てんこく)教室が開かれた。関係者は郷土が生んだ偉人に思いをはせ、テープカットを行って市民の文化芸術活動の拠点の船出を祝福した。オープンは6日。
同館は、さぬき市出身の江戸期の篆刻家、細川林谷(1780~1843年)の顕彰と新たな文化拠点として、寒川庁舎西側の駐車場の一角に整備した。鉄骨平屋(一部木造)で、延べ床面積は約650平方メートル。
2020年6月に林谷ゆかりの人が経営する三重県の会社「日合通信電線」から3億円の寄付を受けたのが整備のきっかけ。常設展示の林谷展示室と企画展などを開く市民ギャラリー、ワークショップなどで使用する講座室を設けている。総事業費は約3億8千万円。
記念式典には大山茂樹市長や林谷の兄の子孫で実質的な寄付者となる同社の細川勝博会長ら関係者約40人が出席し、完成を祝ってテープカットを実施。その後、林谷の研究者で香南中学校(高松市)教員の田淵元博さんが、展示された掛け軸や巻物、篆刻など約40点について解説を行った。
大山市長は「市教委とともに林谷について次の世代に伝えていきたい」とあいさつ。細川会長は「子どもたちが本物の文化芸術に触れる場所になれば」と話した。
地元児童向けに篆刻教室も開いた。東かがわ市横内で篆刻を指導している浅野道男さんらを講師に迎え、寒川小学校の5、6年生の希望者8人が参加。子どもたちは、篆刻用の石に名前の一字などを下書きし、刀で削る刻刀と呼ばれる作業を体験した。
光という字を完成させた5年の川口光太朗さん(11)は「地元から林谷のような篆刻家が出ていることは誇らしい。完成した作品は習字の印鑑として使いたい」と笑みを浮かべた。
6日からは常設展示に加えてオープン記念として、細川会長が収集した美術品の展示も行う。
(四国新聞・2024/10/06掲載)