温泉郷として知られる香川県高松市塩江町をテーマにインスタレーション作品を紹介する企画展「耳をすますように見る」が、同町の市塩江美術館で開かれている。徳島県出身の美術作家早渕太亮の個展。塩江の自然や人を独自の目線で捉えた作品が並び、土地に漂うささやかな空気感を伝えている。27日まで。


塩江町をテーマにした作品に見入る来場者=香川県高松市塩江町、市塩江美術館

塩江町をテーマにした作品に見入る来場者=香川県高松市塩江町、市塩江美術館


 早渕は地域の日常を題材にインスタレーションや文章を手がけ、四国を中心に作品を発表。徳島県立近代美術館主催の芸術祭で3年連続グランプリに輝いたほか、絵本の公募展でも受賞経験がある。今回の個展は塩江の水や風、人をテーマに9種類のインスタレーションを展開している。
 このうち、長さ3・6メートルの布を天井からつるした「土の中」は、地中から温泉が湧き上がる様子をイメージ。湯気に見立てた布をめくると、掘削機で掘った穴も表現されており、塩江の地下深くに流れる温泉の存在を意識させられる。
 塩江から見えた雲を和紙でかたどったものや、町に暮らす人々の行動をシルエットで表現した作品も紹介。見る者を想像の世界にいざなう空間となっている。早渕は「まずは肩の力を抜いて鑑賞し、その後に見る塩江の印象が変化すればうれしい」と話している。
 同館の開館30周年記念展の第4弾として開催。入場料は一般300円ほか。問い合わせは同館、電話087-893-1800。

(四国新聞・2024/10/10掲載)


早渕太亮展 耳をすますように見る 高松市塩江美術館公式サイト



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