善通寺市名誉市民で漆芸作家の故・大西忠夫さん(1918~2007年)の作品展が、香川県善通寺市文京町の市美術館(大西忠夫記念館)で開かれている。香川の風景や身近な動植物、幾何学模様などを題材にした優美で繊細な作品の数々が、来場者を魅了している。無料。20日まで。


優美な作品の数々を鑑賞する来場者=香川県善通寺市文京町、市美術館

優美な作品の数々を鑑賞する来場者=香川県善通寺市文京町、市美術館


 大西さんは筆岡村(現・同市中村町)生まれ。1955年に日展特選に輝くなどし、日展審査員も3度務めた。何層も塗り重ねた色漆を彫る技法「彫漆」を基本に、独自の漆作品を生み出した。
 作品展は市が毎年開催しており、25回目となる今回は「漆に彫る『想(おも)い』」がテーマ。あえて工芸的な仕上げをせず、のみややすりのタッチが特徴的な作品を中心に、43点を展示した。
 このうち四曲一双の屏風(びょうぶ)「玉藻青青(せいせい)」は幅7メートルを超える大作で、生まれ育った善通寺市の五岳山や総本山善通寺のほか、移り住んだ高松市の屋島や五剣山をダイナミックに表現した。 二曲屏風「白昼夢」は、のみ跡が美しい作品。このほか自宅の庭を毎日通りがかるネコを描いた漆額、ブロッコリーやサニーレタスを描いた箱など、多彩な題材の作品が来場者を引きつけている。

(四国新聞・2024/10/16掲載)


第25回大西忠夫展



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