丸亀市の洋画家、水沢正信さん(86)の個展が20日、香川県高松市番町の県文化会館で始まった。新聞社を定年退職後、四半世紀にわたって歩んできた画業の集大成と位置付け、新作油彩画など約70点を展示。屋島の情景や京都の名刹(めいさつ)を透明感あふれるタッチで描いた力作が来場者の目を引きつけている。11月14日まで。


屋島の情景などを描いた作品を鑑賞する来場者=香川県高松市番町、県文化会館

屋島の情景などを描いた作品を鑑賞する来場者=香川県高松市番町、県文化会館


 8回目となる個展は「“LAST”exhibition 命のかけらを塗り込めて」がテーマ。新作や香川で未発表の作品を中心に、過去の代表作やドローイングも並び、画業の流れを一望できる構成となっている。
 今回のメインは屋島の朝焼けや月夜を描いた風景シリーズ。「怨念の海」をテーマに、源平合戦の舞台となったドラマ性や、瀬戸内海にまつわる人々の情念を込めたという。このうち、「早暁の屋島 日月抄」(縦162センチ、横162センチ)は、細い筆で赤や紫色の線を幾重にも重ね、朝日に染まる瀬戸内海を鮮やかに表現している。
 京都・銀閣寺の雪景色を描いたシリーズは、厚塗りによって奥深い「わびさび」の世界を描写。平家の落ち武者集落の風景のほか、外科手術を行う医師をスケッチした意欲作、欧州などで手がけたドローイングも注目を集めていた。
 水沢さんは「一点一点格闘するように描いてきた画業の足跡を見てほしい」と話している。

(四国新聞・2024/10/21掲載)



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