香川県内各地に残されたさまざまな道具を多く集めて比較、研究する企画展「『たくさん集める』からわかること―香川の千歯扱(こ)ぎ・足踏脱穀機大集合―」が、高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。かつて稲麦などの脱穀に使われていた「千歯扱ぎ」と「足踏み脱穀機」に着目し、暮らしや文化の変遷をたどる。12月1日まで。


かつて稲麦などの脱穀に使われていた「千歯扱ぎ」と「足踏み脱穀機」を紹介する企画展=高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 同資料館は、建造物、石積み擁壁などを重要文化財に指定するよう国の文化審議会が答申している。現在、瀬戸内圏の11府県から収集した生活にまつわる道具など計12万8千点の貴重な民俗資料を収蔵している。
 今展では、同館や県内の資料館などに収蔵されていた両農具約300点を調査した中から、約90点を展示。3章構成のうち「千歯扱ぎ大集合からわかること」では、千歯扱ぎが大正から昭和前期にかけてさぬき市や、まんのう町など県内でも生産されていたことを紹介している。このうち善通寺から見つかった稲用の2例の歯は竹製で、当時鉄製が主流だったことから、戦時下の金属供出による代用品の可能性などが指摘されている。


大正~昭和期に製造された足踏み脱穀機


 また、「足踏脱穀機大集合からわかること」では、全国のメーカーが生産した足踏み脱穀機を時代順に展示。使われた素材や地名表記などの違いが表れ、安全性や利便性の向上がうかがえる。
 同館の長井博志主任文化財専門員は「多く収集して特徴を把握することで新たな発見がある。かつて私たちの暮らしを豊かにした農具に興味を持ってほしい」と話している。
 入場無料。問い合わせは瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2024/11/13掲載)



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