故小森秀雲の足跡たどる 香川県内書道界をけん引 16日まで 蚊がw県立ミュージアムで遺作展
2022年3月に93歳で死去した書家・小森秀雲の遺作展が12日、香川県高松市玉藻町の香川県立ミュージアムで始まった。初期から晩年に手がけた前衛書や詩文書など約80点を展示、県内書道界をけん引した故人の足跡を紹介している。16日まで。
高松一高などで教壇に立つ傍ら、1951年から前衛書道家の中原一耀に師事。55年の日展に初出品で初入選、56年にも入選した。県展では55年から文部大臣賞を含め7回連続で入賞を果たした。99年に四国新聞文化賞、2001年に県文化功労者、03年度には文部科学省の地域文化功労者に選ばれた。17年に旭日双光章を受章。書道団体「墨華書道会」「硯友会」を創立するなど、後進の育成にも力を注いだ。
注目を集めていたのが六曲屏風(びょうぶ)「崔子玉(さいしぎょく) 座右銘」。中国の思想家の言葉で、空海も筆写したという。「他人の短所を責めず、自分の長所を誇ってはならない」という言葉を金文でしたためている。
絶筆の折帖(おりじょう)には、精進を続けてほしいという弟子たちへのメッセージなどがつづられ、筆致から強い思いが感じ取れる。このほか「山」の字を芸術的に表現した約50年前の前衛書や、宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」を記した書などが並び、あらゆる書体を追求した小森の、書に対峙(たいじ)する真摯(しんし)な姿勢が浮かび上がっている。
墨華書道会の東原吐雲会長は「作品はずっと生き続ける。遺作展を通じて小森さんの歴史を感じ取ってもらえれば」と話している。
(四国新聞・2025/02/13掲載)