独創性あふれる優れた現代アート作家を取り上げるグループ展「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.12」が、香川県高松市紺屋町の市美術館で開かれている。「わたしのりんかく」をテーマに、自身と他を隔てる輪郭を写し出そうと試みた作品が並んでいる。3月16日まで。


「わたしのりんかく」をテーマに作家を紹介するグループ展=高松市紺屋町、市美術館

「わたしのりんかく」をテーマに作家を紹介するグループ展=高松市紺屋町、市美術館


 このグループ展は、2009年から開催。毎回違う作家が、本展に向けて制作した新作を中心に紹介している。今回は6人の作家をピックアップした。
 横山翔平は練りガラスのオブジェを出品。自身の思考や意識を投影したといい、ガラスとは思えないような力強さと生命力があふれている。弧線を重ねた絵画で知られる国久真有が、香港の街並みからインスピレーションで描いた作品は、赤を基調とした線が幾十にも重なっている。中央には四角い空白があり、高層ビルの間から見上げた時の空のようだ。
 高松市出身の矢野恵利子は、矢野が経験した出来事を漫画風に表現し、「うさこ」が追体験するというコンセプトの陶器作品約20点や、自身がうさこについて語る映像によるインスタレーションなどを展示している。
 体に絵の具を垂らすことで自分の存在を確認する表現を生み出した新宅加奈子。会場にはその様子の写真などが並んでいる。ユニット「山下麻衣+小林直人」は、自宅兼アトリエの1室の四つ角をリアルタイムで会場に投影する映像インスタレーションなどを通じて、鑑賞者の感性を揺さぶっている。
 担当学芸員は「『どこまでが自分なのか』と意識を向けてもらうきっかけになれば」としている。
 一般千円ほか。問い合わせは同館、電話087-823-1711。

(四国新聞・2025/02/13掲載)


高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.12 わたしのりんかく



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