国の伝統的工芸品である香川漆器の5技法の一つ、「後藤塗」を受け継ぐ香川県内唯一の専門店。使っていくうちに赤黒っぽい色から鮮やかな朱色に変化し、味わいを増す後藤塗の奥深さを現代まで伝え続けている。


朱色を基調とした大小さまざまなおわんやお盆

朱色を基調とした大小さまざまなおわんやお盆


 後藤塗は、讃岐漆芸の祖・玉楮象谷(たまかじぞうこく)と親交の深い後藤太平が明治初期に考案。黒色を基調とした献上品が多かった当時、「家庭でも使いやすいものを」との思いで制作を始めたという。


漆を塗った後に指先で模様を付ける繊細な作業に取り組む後藤さん

漆を塗った後に指先で模様を付ける繊細な作業に取り組む後藤さん


 国の伝統工芸士で5代目の後藤孝子さん(44)は、母親のようなまなざしで漆器と向き合っている。「使うほどに魅力が生まれるのが漆器。物があふれる時代だが、一つの物を長く大切に使ってほしい」と語る。
 現在は、他県の伝統工芸とのコラボレーション作品を生み出すなど、新たな価値創造にも挑戦する。多くの人が漆器に触れる機会をつくる―。創始者の思いは脈々と受け継がれている。

(四国新聞・2025/03/02掲載)

宗家後藤盆


所在地  香川県高松市磨屋町4-5
営業時間 午前9時半~午後6時(土曜は午前10時から)
定休日 日曜、祝日
TEL 087-851-0786


関連情報