阿讃山脈の麓に広がる香川県東かがわ市五名で、築70年の古民家を改修、再生した農家民宿が完成した。自然豊かな五名が堪能できる新施設の名称は「GOMYO LIFE HOTEL」。移住者が地域住民の協力を受けて作業を進めてきた事業で、新たな船出を祝って1日に関係者を招いて内覧会が開かれた。営業は4月からスタートする予定。


築70年の古民家を再生した「GOMYO LIFE HOTEL」。左が宿泊施設、右が山の本屋でいずれも4月に営業を始める予定=香川県東かがわ市五名

築70年の古民家を再生した「GOMYO LIFE HOTEL」。左が宿泊施設、右が山の本屋でいずれも4月に営業を始める予定=香川県東かがわ市五名


 中心になって手がけたのは、国道377号沿いに建つ産直カフェ「五名ふるさとの家」代表の飯村大吾さん(34)=北海道千歳市出身=。新ビジネス立ち上げ時の初期投資費用を支援する総務省のローカル10000プロジェクトの採択を受けて昨年10月から改修工事を行っていた。
 古民家は2016年に林業研修生として移住してきた飯村さんがかつて暮らしていた愛着のある建物。木造2階建ての母屋(延べ床面積約130平方メートル)を農家民宿に、同じく木造2階建てで隣接する納屋(同約80平方メートル)を「山の本屋」として再生した。


内覧会で地域住民と共に施設の完成を喜ぶ飯村さん(右端)。1階には薪ストーブも備えている

内覧会で地域住民と共に施設の完成を喜ぶ飯村さん(右端)。1階には薪ストーブも備えている


 施設は古民家らしい梁(はり)や柱はそのまま生かし、1日1組限定で最大5人まで宿泊が可能。1階にはキッチンや風呂などを配置し、冬場でも快適に過ごせるよう薪(まき)ストーブを完備。1階にも2階にも寝室を設けている。食事はオプションとする方針で、地元産のイノシシ肉や新鮮な野菜を使ったしし鍋のほか、バーベキューなどジビエ料理を提供する予定だ。
 この日は県内で活動する林業女子17人が敷地内にスダチとユズの木計5本を植樹。その後の内覧会には地域住民も加えて総勢80人ほどが参加した。参加者は、飯村さんらが用意したおにぎりやおでんなどを味わいながら、新たな施設を興味深そうに眺めるとともに門出を祝福した。
 地域住民は「五名の四季折々の景色が楽しめる施設になったのでは」「ここにホテルがあれば地域全体が元気になる」などと歓迎。飯村さんは「移住当初から構想していた宿事業で、ゆっくり過ごしてもらえる施設に仕上がったと思う。宿泊者に田舎の魅力を伝えることで、山の価値を上げていきたい」と意気込んだ。
 3月中は山の本屋を含めた敷地内の整備をさらに進めるほか、モニターに宿泊してもらい運営方法を模索する。

(四国新聞・2025/03/05掲載)


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