作品通じ「身体」想像 丸亀・猪熊美術館で西條茜展 30日まで 陶彫など新作19点
若手作家を対象にした公募展「第1回MIMOCA EYE(ミモカアイ)」の大賞に輝いた西條茜(京都府在住)の個展「ダブル・タッチ」が、香川県丸亀市浜町の丸亀市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。息を吹き込んだり触れたりといった行動を想起させる陶彫作品が鑑賞者に気付きを与えている。3月30日まで。
ミモカアイは、若手作家による新たな表現をサポートしようと同館が開催。1989年生まれの西條は京都市立芸大大学院を修了、近年は陶磁器の艶やかな質感などから「身体性」をキーワードに創作を行うほか、作品内部に声を吹き込むパフォーマンスも披露している。受賞記念展では、陶彫作品を中心に新作19点を展示。
西條の陶彫は、穴やくぼみがある独特の形状が特徴で、中には高さ約2メートルの大作もある。このうち「惑星」は、湯船のような造形から三本の管が突き出した形で、作品を見るとつい管をのぞき込んだり声を吹き込んだりしたくなる。もし複数の鑑賞者が同じような行動を取れば、どんなコミュニケーションが生まれるだろう―と想像するのも面白い。
西條がこうした作品と身体との関わりを考えるのは、日常生活の中でバーチャル上の対話が増えたと感じるのが理由という。担当の松村円学芸員は「作品から想像を膨らませ、自分や他人の身体に意識を向けるきっかけにしてほしい」と話している。
入場料は一般950円ほか。問い合わせは丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、電話0877-24-7755。
(四国新聞・2025/03/06掲載)
「第 1 回 MIMOCA EYE/ミモカアイ」大賞受賞記念 西條茜展 ダブル・タッチ