地元の歴史に思いはせ 塩江美術館・16日まで 民話挿絵や映像作品紹介
香川県高松市塩江町の高松市塩江美術館の開館30周年記念の展覧会「Folklore(フォークロア)―いいつたえ―」が同美術館で開かれている。先人から紡がれてきた歴史を、民話や映像で紹介するなど後世につなぐ展示空間が広がっている。16日まで。
会場には、塩江に伝わる物語を集めた「塩江の民話」の挿絵を手がけた童絵作家・池原昭治(同市出身)の原画45点を展示。民話の中の「行基が開いた温泉」では、自然に囲まれた温泉で湯を満喫する人を挿絵で描いており、ほのぼのとし作品が来場者を癒やしている。
ANTICAL高松(代表・岡内大三)による映像作品「Water Commune city」は、水にまつわる信仰や、水利慣行などをリサーチして制作。
真っ暗な空間でBGMとともに「水の祝祭」をテーマにしたダンスなどの映像が投影され、神秘的な雰囲気をつくり出している。住民のインタビュー映像では、1994(平成6)年の「ヘイロク渇水」が、人間模様にも影響をもたらしたことなど生々しい記憶も語られている。
岡内は「水はあって当然のような存在になっているが、背景にはさまざまな人の思いがあることを知ってもらえれば」と話している。
入場料は一般300円ほか。問い合わせは高松市塩江美術館、電話087-893-1800。
(四国新聞・2025/03/06掲載)
高松市塩江美術館 開館30周年記念「Folklore-いいつたえ-」