東山魁夷せとうち美術館開館20周年記念春の特別展「気配の力―拡大する日本画 岡村桂三郎―新恵美佐子」(四国新聞社など共催)の開幕を前に11日、香川県坂出市沙弥島の同館で開展式と内覧会が行われた。来場者は、伝統を受け継ぎながら変遷を遂げてきた日本画の歩みをたどった。会期は12日から6月1日まで。


岡村さんの屏風の作品を鑑賞する来場者=坂出市沙弥島、県立東山魁夷せとうち美術館


 「拡大する日本画」シリーズは今回で3回目。本展では岡村さん(東京都出身)と新恵さん(大阪府出身)の新作や大作などを中心に21点を紹介している。
 岡村さんはバーナーで焼いた板の上に、岩絵の具などを重ねた独自の作風で知られる。本展では大作「百眼の魚 18―1」などを出品、来場者はえたいの知れない生き物の気迫に圧倒されていた。
 新恵さんは滞在していたインドでの経験を創作の重要な源泉とし、画面の外にまで広がるような生命力あふれる作品を制作。今展のために手がけた「Butterfly dream」などが会場に並んでいる。


新恵さんによる作品を鑑賞する来場や=坂出市沙弥島、県立東山魁夷せとうち美術館


 開展式には新恵さんや同館の増田昭宏館長らが出席し、テープカットで開幕を祝福。新恵さんは「日本画に欠かせない大きな存在である東山さんの名を冠した美術館で、岡村さんの作品とともに展示していただけるのはこの上ない喜び」と話した。
 内覧会に参加した近くの自営業浜辺奈津美さん(62)は「新しい世界を見せてもらい感動した。日本画について改めて考えさせられた」と語った。

(四国新聞・2025/04/12掲載)



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