法然寺(香川県高松市仏生山町)参道の「お成り街道」沿いに、築100年以上の古民家を改修した宿泊施設「凪(なぎ)」が誕生した。穏やかな瀬戸内海のように「凪いだ心を取り戻す場所」がコンセプトで、往時の面影を残す門前町の風情を感じながら日常の慌ただしさを忘れてリフレッシュできる空間を提供している。


古民家を改装した「凪」の客室=香川県高松市仏生山町


 丸亀市の通町商店街を拠点に地場産品の卸売りや小売り、食のイベント企画などに取り組む地域商社「OIKAZE」が運営。代表取締役の相原しのぶさん(43)が同社を起業前、高松市仏生山町の「仏生山温泉」で働いていた縁から、宿泊施設として生まれ変わることになった。
 建物は母屋と離れに分かれており、いずれも木造。母屋の1階は共用スペース、2階は客室で、2~3人が泊まれる部屋を3部屋設けた。耐震改修を行う一方で、古いガラスを使った建具や欄間などは元々あったものをなるべく生かし、古民家らしい雰囲気をそのまま残した。また、ガラス戸を二重にするなど隙間風対策を施し、冬でも快適に過ごせるように工夫した。
 こだわりは朝食で、1人用の釜で炊いたご飯に地元産のみそやイリコを使ったみそ汁、同市内の飲食店が製造する魚の干物などを提供。しょうゆの木おけを手がける職人が作ったヒノキの風呂も自慢という。
 相原さんは「宿泊施設の運営は念願だった。地域の人たちの思い入れが強いこの家を宿にでき、うれしい」と話している。
 2人1室利用(朝食付き)で1人1泊1万5800円~。問い合わせは〈087-802-9817〉。

(四国新聞・2025/06/02掲載)


仏生山のまちやど「凪-nagi-」



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