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工場とギャラリー見学 槙塚鉄工所(香川県高松市)熱や光、加工技術間近に 生活彩る個性的な作品
建築金物を製造している槙塚鉄工所(香川県高松市木太町)。製造過程を見学できたり、鉄を使った独創的な作品が並ぶギャラリーを設けるなど、地域に根付いた取り組みが注目されている。目印の鉄のオブジェを目指して車を走らせた。
鉄製階段や手すりを中心とした金物を製造する同社。受注先の現場での計測や図面作成のほか、県内の場合は設置まで手がけているという。また、家具やインテリア、オリジナルデザインの表札なども製造しており、個性的な作品が生活に彩りを添えている。
同社の岸晃一郎さんの案内で、二つに分かれている工場を見学。カンカンカン、ギュイーン…。足を踏み入れると聞き慣れない加工音と鉄が焼ける匂いがした。
小物製品を作る工場では、女性がフライパンを製造していた。1200度の熱さにもなる鉄板をたたいて成形し、不純物も取り除く。離れた場所に立っていても熱気が伝わってくる。
階段など大きな製品を製造する工場では、鉄の板や棒を溶接する様子を見学。まばゆい光と飛び散る火花に圧倒された。材料の厚みや質で仕上がりが変わるため微調整が必要といい、繊細な手仕事を目の当たりにした。
工場の2階にある「ギャラリー アルターナ」では、職人手作りのアクセサリーやアート作品、キッチン用品などが並ぶ。「職人が自由に好きな物を作ることで息抜きになれば」との思いからギャラリーでの展示販売を始めたそうだ。好評なのが「ジュウジュウフライパン」。熱伝導が高く、食材に均等に火が通る。しかも軽くて深さもある。
「安全で使いやすい。日々の生活を豊かにできる作品を目指している」。岸さんは強調する。ここで働く社員は、暮らしの中での使い方に想像を膨らませながら日々製作に励んでいる。その熱意を肌で感じ、生活に「鉄」を取り入れてみたい、そう思った。
ギャラリーの営業時間は平日と隔週の土曜の午後1時から同5時。不定休。ギャラリーや工場見学を希望する場合は槙塚鉄工所、電話087-862-2770。
(四国新聞・2025/06/28掲載)