旅行者が交通機関や観光施設のチケット購入などの手続きをスムーズにできるようにするデジタル技術を活用した実証実験を、旅行大手JTBと日立製作所が今月から小豆島で開始した。スマートフォンに生体認証(顔認証)や電波受発信などを活用した決済アプリを入れることで、窓口での手続きが短時間で済み、混雑解消が図れる。関係者は「観光客、事業者双方の満足度アップにつながるはず。小豆島での結果を足がかりに全国展開を目指す」と意気込んでいる。


「tebu―Ride PASS」を利用して路線バスに乗車する実証実験の参加者。時刻表の上部に設置されているのがビーコン=香川県小豆郡土庄町、土庄港バス停

「tebu―Ride PASS」を利用して路線バスに乗車する実証実験の参加者。時刻表の上部に設置されているのがビーコン=香川県小豆郡土庄町、土庄港バス停


 両社は6月、観光分野でのデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に合意。手ぶらで気軽に旅行が楽しめるサービスにするとの願いも込め「tebu―Ride PASS(テブライドパス)」と名付けたシステムを開発した。JTBが小豆2町と「20年先の小豆島をつくるプロジェクト」を展開している縁もあり、実証実験の舞台を小豆島に選定。今回は、小豆島フェリー、小豆島オリーブバス、小豆島交通、岬の分教場保存会、オリーブ園、小豆島大観音の6事業者が展開している交通機関や観光施設が参加している。
 観光客は「tebu―Ride PASS」をダウンロードした後、顔認証情報や決済手段などを登録。顔認証ではタクシー代や土産購入代、拝観料などが支払える。高速艇や路線バスの利用時と二十四の瞳映画村などの入場の際は、ビーコン(電波受発信器)技術でスマホ画面に自動的に表示される「見せ券」を乗務員に提示するだけでOK。運賃や入場料などは、セットの割引なども含めて自動で精算され、登録したクレジットカードから利用の翌月に決済される。
 実証実験初日の1日、参加者は土庄港バス停に設置されたビーコンを確認した後、路線バスに乗車。スマホ画面に表示された「見せ券」を運転手に示した。降車地の小豆島オリーブ園では、画面を顔の前にかざすと数秒で支払い手続きが完了するスピード決済に驚きの声が上がった。また、混雑していた二十四の瞳映画村や土庄港を発着する高速艇のチケット売り場では、購入のために並ばなくても入場、乗船できることについて「乗り遅れの不安、ストレスが大幅に解消できる」などと評価する意見があった。
 実証実験は10月末まで実施。期間中、高松港や小豆島の各港、高松市内の宿泊施設などにアプリをPRする看板やチラシなどを設置し、千人の登録、利用を見込んでいる。


「tebu-Ride PASS」の利用時に示す見せ券

「tebu-Ride PASS」の利用時に示す見せ券


(四国新聞・2025/08/08掲載)


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