「家終(じま)い」に伴い収蔵した生活用品などを紹介する企画展が、香川県高松市亀水町の瀬戸内海歴史民俗資料館で開かれている。戦前、戦後に使用された約200点を展示。当時の市井の人々の暮らしを浮かび上がらせるとともに、資料収集の現状を伝えている。31日まで。


戦前、戦後に使用されていた生活用品などを紹介する企画展=香川県高松市亀水町、瀬戸内海歴史民俗資料館


 総務省が発表した住宅・土地統計調査(2023年10月時点)によると、香川県の住宅総数に占める空き家の割合は過去最高の18・6%。全国平均より4・8ポイント高く、全国ワースト10位だった。
 同資料館では近年、「終活」や少子高齢化などにより、生活財処分の寄贈照会が増加。中には、集落で共有していた祭礼用具といった生活と関わりの深い「地域資料」など、これまで収集の機会が少なかったものが寄せられるようになったという。
 一方で、同資料館の保管スペースの状況を鑑みながら、収蔵するかどうかを考える必要があるため、判断の難しさが課題になっている。
 直島町の旧網元の家から見つかった縄ない用具や昭和50年代の炊飯器などを展示したコーナーの一角には、収集に行った職員による説明書きがあり「宝の山だったが、時間と保管スペースの制約により、大半は収集できなかった」などとつづられている。
 約50年前の新聞の折り込みチラシや全国各地の未開封の土産物、戦前にシンガポールで撮影された写真、学徒出陣で戦死した男性の遺品なども並んでいる。
 同展担当の田井静明専門職員は「スマートフォンにさまざまな機能が集約されるようになった今、新たな視点での資料収集が不可欠になっている。どのような観点で収集したかにも着目しながら見てもらえたら」と話している。
 入場無料。問い合わせは瀬戸内海歴史民俗資料館、電話087-881-4707。

(四国新聞・2025/08/10掲載)



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