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シベリア抑留体験 過酷さ伝える絵画 さぬきで2人展
シベリア抑留の体験を描き続け、2012年10月に87歳で亡くなった川田一一(かずいち)さんとその孫で画家の千田豊実さん(43)による2人展が、2人の地元香川県さぬき市寒川町の細川林谷記念館で開かれている=写真=。戦後80年に合わせた企画で、来場者は2人の絵が伝える過酷な記憶をたどり、平和へ思いを巡らせている。17日まで。
川田さんは戦前、南満州鉄道で勤務。終戦後シベリアで抑留され、1948年12月に帰国した。長く抑留体験を封印していたが、95年に筆を握り、体験を基に作品を描いた。千田さんも大学卒業後に画家となり、抑留をモチーフにした絵を描き続けている。
2人展は2009年、10年、13年、15年に続いて5度目の開催。生前に川田さんが残した油絵やアクリル画を中心に、千田さんの新作2点を含む25点を展示している。
中でも、戦後70年で千田さんが制作した縦約2・5メートル、横約6メートルの大作「シベリアで眠る人々」は10年ぶりの公開。来場者は視覚に迫るおどろおどろしさと色使い、異なる苦痛の表情を浮かべて今なおシベリアの地で眠る無数の抑留者に見入り、平和の尊さを感じ取っている。
10日午前10時からは、千田さんが元抑留者の娘の西岡秀子さんを招き、ギャラリートーク「子・孫の世代から見たシベリア抑留」を開催する。申し込み不要。
(四国新聞・2025/08/10掲載)