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「納め札」変遷にスポット さぬき、31日まで企画展
香川県さぬき市前山のおへんろ交流サロンで夏の企画展示「四国遍路 納札展」が開かれている。お遍路さんが札所の本堂や大師堂に納める納め札の歴史をはじめ、書き方や使い方といった実用的な豆知識を紹介している。31日まで。
昨夏の企画展示で、高松市国分寺町の武田家で発見された俵札などの関連資料を展示。その後も整理を進め、今回は納め札にスポットを当てた。遍路をする上で欠かせない巡拝用具の一つ、納め札の変遷などがたどれる。
納め札の慣習は江戸時代前期ごろに発生し、参拝の事実を札所に残せる唯一のもの。一般的な使い方として本堂と大師堂の2カ所に1枚ずつ納める。お接待を受けた際のお礼や、お遍路さん同士が名刺交換のように渡し合う場合もあるという。
展示しているのは1844(天保15)年から1938(昭和13)年の納め札と関連資料合わせて約30点。印刷技術の進歩とともに納め札も変化しており、手書きが主流だった江戸時代から、近代になると版刷りが登場し、昭和期以降には印刷したものが一般的になったことがうかがえる。
現在使用されている納め札は縦15・5センチ、横5センチのサイズに統一されているが、古い時代のものは大きさがばらばらであったことなども確認できる。同館は「四国遍路の歴史の一部を深掘りして伝えることで、遍路文化の保存や継承につなげていきたい」としている。
入館無料。開館時間は午前8時~午後4時。
(四国新聞・2025/08/21掲載)