四国で製造されているクラフトビールやワイン、リキュールなどの輸出につなげようと、日本貿易振興機構(ジェトロ)は21日、香川県高松市浜ノ町のJR高松駅前広場でインバウンド(訪日客)を対象としたマーケティングイベントを始めた。四国内の10社が手がけるクラフト酒類をそろえ、試飲や販売、自国に戻ってからも購入できる越境EC(海外との電子商取引)サイトの紹介を通じ、商品の魅力をアピールしている。


訪日客に試飲してもらい、反応を確かめるクラフトビールの事業者=香川県高松

訪日客に試飲してもらい、反応を確かめるクラフトビールの事業者=香川県高松市浜ノ町


 クラフト酒類の多くが原料に地元産食材を使用したり、ラベルデザインに地元の風景を落とし込んだりしていることに着目し、輸出商材への成長を見込んで初めて企画。県内の4社をはじめ、愛媛4社、徳島、高知各1社が出展した。
 初日は県内3社を含む8社が20種類の酒類を出品。会場には中国語、韓国語、英語に精通したスタッフが常駐し、訪日客らに各社のテントで試飲を勧めるなどしながら、味わいやラベル・パッケージの印象など海外での販路開拓に生かせるアンケートも実施した。
 うどん店運営のウエストフードプランニング(坂出市)は、「王越麦酒」のブランド名で展開するクラフトビールを試飲・販売。同市王越町産のレモンを使った商品などを売り込み、担当者は「中国や台湾、香港方面への輸出を検討中で、訪日客の生の声を聞きたくて参加した。いい反応もあった」と手応えを話す。
 美馬産業(徳島市)が運営する「馬宿蒸溜所」(東かがわ市)は、和三盆の製造過程で生じる「糖蜜」が原料のラム酒を提供。おいしそうに口にする訪日客の姿を見た担当者は「海外での可能性を大いに感じた。今回のイベントで得られるデータも参考にしながら戦略を練ってみたい」と意欲を示した。
 イベントは23日までで、時間は各日午前11時~午後6時。訪日客以外も試飲や購入は可能。ジェトロ香川貿易情報センターの担当者は「海外の人の評価を直接見聞きすることで、将来的な輸出はもちろん、国内外での販路拡大につなげてもらいたい」と話している。

(四国新聞・2025/08/22掲載)



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