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不要の椅子に新たな命 作家と多度津高生制作 秋会場・高見島
瀬戸内国際芸術祭2025秋会期(10月3日~11月9日)に参加するアーティストが28日までの4日間、香川県仲多度郡多度津町栄町の多度津高校で生徒と交流しながら作品制作に取り組んだ。試みたのは不要になった椅子の再生で、建築科の生徒が作業をフォロー。生徒たちは創造力や表現力を生かしたものづくりの面白さにも触れ、芸術の世界に興味を深めた。
訪れたのは、同町沖の高見島で作品を展開するグループ「BankART1929+PHスタジオ」の細淵太麻紀さん(53)と津澤峻さん(35)。壊れたり、使わなくなった椅子を再利用して新しい椅子を制作し、坂道の多い島に展示するアート作品に取り組んでいる。椅子は鑑賞だけでなく、休憩したり景色を眺めたりすることにも利用してもらう。
制作に使った椅子は、事前に町内で収集。形や製造年代、使われていた場所、使っていた人の思いが一つ一つ異なる約120脚が寄せられた。
4日間の共同制作では、2人は集まった椅子からさまざまな作品をイメージし、時には生徒に相談しながら創作活動を進行。生徒たちは椅子の洗浄や分解、座面の取り付けなどに汗を流した。
同校での活動はこの日で終了。29日からは制作した椅子を島に搬入し、作家たちの手によって最終的な作品に仕上げられる。
グループ代表の細淵さんは「椅子の提供では、多くの人が主体的に関わってくれてうれしかった」と感謝し、「作品に触れながら美しい景色だけでなく、自然と対峙(たいじ)して生きる人のたくましさなども感じてもらえたら」としている。
活動に参加した同校2年の大山やや子さん(17)は「芸術にはすごく関心があり、頭で考えたことを形にしていくアーティストのすごさを感じた。島に作品を見に行きたい」と笑顔を浮かべた。
(四国新聞・2025/08/29掲載)