山間部を舞台にした現代芸術展「かがわ・山なみ芸術祭」が25日、香川県綾歌郡綾川町枌所西のかがわ・ものづくり学校を主会場に町内5エリアで開幕した。3年ぶり6回目の開催で、県内外の美術作家や地元住民らが制作した70種類以上のアート作品を展示。今回初めて実行委員会の代表を町民が務め、「テーマは『つむぐ』。大勢の人に来てもらい、山なみ芸術祭を一緒に紡いでもらえれば」と来場を呼びかけている。11月16日まで。


壁、床、天井に描かれたペインティング作品=香川県綾歌郡綾川町枌所西、かがわ・ものづくり学校

壁、床、天井に描かれたペインティング作品=香川県綾歌郡綾川町枌所西、かがわ・ものづくり学校


 同芸術祭の前身は2010年に町内で開かれた「アート・トレッキング」。当時から地元住民が協力し、地域に芽生えた現代芸術への思いを素地に、13年に第1回を開催。周辺市町を会場に含めながら2、3年周期で催し、今回は旧綾上町の枌所、山田、西分、羽床上、高山航空公園の5エリアで作品を展開している。
 作品は、作家51人による絵画や立体作品、地域の建物や自然と共存したインスタレーションなどのほか、地域ワークショップで子どもたちが制作したペーパークラフトなど、さまざまな表現のアートがそろう。
 旧枌所小学校のものづくり学校では、教室の天井や床、壁一面に施したペインティング作品、和紙を生物に見立てたインスタレーションなど30種類余りの作品を展示。近くにある山間部の納屋「田んぼの学校」では、赤い毛糸で太さ6ミリの鉄の棒を屋内の梁(はり)や柱から複数つり下げた作品が異彩を放っている。


芸術祭共同代表の(左から)井手上あや子さん、井手上美智子さん、森本ゆう子さん

芸術祭共同代表の(左から)井手上あや子さん、井手上美智子さん、森本ゆう子さん


 今回は、芸術家が実行委員長を務めた過去5回と違い、地元枌所在住の井手上あや子さん(77)、井手上美智子さん(73)、森本ゆう子さん(72)の住民3人が共同代表として運営を主導しているのが特徴だ。
 アート・トレッキングに始まり、これまでの芸術祭全てで運営に協力してきた3人は今回、会場設営や周知活動、ミュージアムショップでの接客、会場での受付作業など、幅広い仕事に奔走。「住民主体の地域芸術祭」の象徴となり、初日にものづくり学校で開かれた開会式でも、おそろいのデザインTシャツ姿で開幕を高らかに宣言した。
 3人は「山なみ芸術祭を一番楽しみ、遊んでいるのは自分たちかも。皆さんにこのイベントを知ってもらい、一緒に楽しんでほしい。そうして綾川町が明るくなれば」と口をそろえた。開場時間は午前10時~午後4時。観覧無料。問い合わせは井手上美智子さん〈090-1003-4535〉。

(四国新聞・2025/10/26掲載)


第6回かがわ・山なみ芸術祭2025


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