独創的な芸術に触れる「たどつアートフェスティバル」が22日、香川県仲多度郡多度津町内で始まった。多度津港周辺から旧本町筋に至る通り沿いの旧商家などに、アーティスト25人・組の作品を分散展示。アートと風情あるまち並みの融合が、来場者の目を楽しませている。30日まで。


個性あふれる作品を楽しむ来場者=多度津町本通、合田邸

個性あふれる作品を楽しむ来場者=多度津町本通、合田邸


 同フェスは、多度津町文化体育振興事業団が設立30周年を記念し、2021年から開催。今回は、かつて金毘羅参詣の拠点として、また四国の近代化を支えた中心地として栄えた地を会場に選び、歴史とアートを体感してもらおうと企画した。
 同町や香川ゆかりの作家らが参加し、旧商家や商店、金融機関など計14カ所に彫刻や映像、インスタレーションなどさまざまな作品を展示している。
 展示会場が多く集まっているのは、古いまち並みが残る旧本町筋。なかでも町指定文化財「旧合田家住宅(合田邸)」では、複数の部屋に作家9人・組が作品を発表している。
 このうち、平野年紀さん=高松市出身=の「私の世界が消える前に」は、亡き家族らの顔を描いたり、幼い頃の愛犬をかたどったりした立体作品を展示。自身が黄色い犬に変身した斬新な映像も流し、訪れる人の目を引いている。
 小豆島町出身の藤原慎治さんは、元クリーニング店「ちくご屋」を活用。来場者に懐かしい記憶をたどってもらおうと、横になれるわらで作ったベッドを置き、天井からは古い雑誌の切り抜きをつるすなどしている。このほか、高松信用金庫多度津支店では、屋外にキリンと豚を擬人化した愛らしい動物アートが存在感を放っている。
 期間中、まち歩きや音楽、ワークショップなどの関連イベントもある。問い合わせは多度津町文化体育振興事業団〈0877-33-3330〉。

(四国新聞・2025/11/23掲載)



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