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「風景とは」 魁夷の表現力に触れて 東山魁夷美術館・来年1月18日まで
香川県坂出市沙弥島の東山魁夷せとうち美術館で、第3期テーマ展「風景とは何か―魁夷の風景、私達の風景」が開かれている。心象と重ね合わせながら描いてきた魁夷の圧倒的な表現力に触れられる。来年1月18日まで。
今展では戦後間もなくから晩年までに手がけた26点を、魁夷自身や交流のあった作家らがつづった言葉とともに展示している。
鹿野山(千葉県)の山頂からの眺望をモチーフにした代表作「残照」は、波の起伏のような稜線(りょうせん)が浮かび上がった山谷を描写。魁夷は手記で「この眺めは私の心の姿をそのまま映し出しているように見えた」と振り返っている。
「京の春」は京都府の円山公園が取材地。月夜に咲き誇るサクラが描かれ、四季折々の景色を見つめてきた魁夷の姿勢がうかがえる。親交が深かった川端康成は「東山さんの風景画に日本の自然を身に染みて感じ、静かな安らぎに慰められる」と寄せている。
絵の具で滝を捉えたスケッチや、森にたたずむ神々しい白馬が描かれた「緑の詩」などもあり、会場を清澄な雰囲気に包んでいる。
担当学芸員は「作品を通じて魁夷が自問してきた『風景とは何か』という問いに向き合ってもらえたら」としている。
6、20日、1月17日の午前11時から作品解説。入館料は一般400円ほか。問い合わせは東山魁夷せとうち美術館、電話0877-44-1333。
(四国新聞・2025/12/05掲載)

