香風園 香川県坂出市本町 借景取り込む和洋の庭園 街中の「異空間」を満喫
JR坂出駅から徒歩5分、市街地の中心部にある坂出市指定文化財「香風園」(香川県坂出市本町)。同市の実業家鎌田勝太郎氏(1864~1942年)が築庭した園で、現在は市民らに広く開放され「街中のオアシス」として親しまれている。日常から離れて一息つこうと、門をくぐった。
同園は鎌田氏が1908~10年にかけ、飯野山など周囲の山を借景に取り入れて築庭した。55年に鎌田家から市が買い受け、以降は公園として開放されていた。89年には鉄道高架化事業に伴い南側が道路敷地として利用されることになった。その後、市は同駅周辺整備主要プロジェクトの一環で、99年度から2年かけて築庭当時の状態に整備。広さは5729平方メートル、西側は日本庭園、東側は洋風庭園で構成されている。
訪れた日は西門から入場。手入れの行き届いたマツなどの木々、小さな池や橋を見ながら東に向かって歩いていると、優雅に泳ぐニシキゴイが目に入った。あずまやの近くでは餌を100円で購入できる。餌欲しさに群がる数十匹のコイを横目に進むと、洋風庭園が広がる。芝生広場などがあり、夕方になると、地元の子どもたちの遊び場になるそうだ。
北側に位置するかやぶき屋根の「時雨亭(じうてい)」と「翠松閣(すいしょうかく)」は有料で利用できる建物。茶会や結婚式の前撮りなどのほか、風情あるたたずまいから、コスプレの撮影スポットとしても評判を集めている。
今回は特別に中を見せてもらった。いずれも茶室を備え、窓からは庭の景色と赤色に色付いた山々を望むことができた。住宅や高架も視界に入るものの、築庭当初から100年以上がたった今もなお、借景を取り入れたことがうかがえるほど見応えがあった。
散策を楽しんだ後は翠松閣に隣接する休憩所に立ち寄るのがお勧め。抹茶や甘酒、コーヒーなどを販売しており、この日は地域住民がドリンクを片手に会話に花を咲かせていた。
街中にありながらも静けさ漂う空間。坂出駅周辺は再整備事業のまっただ中だが、街が変貌しても、これまでのように市民の「オアシス」であり続けてほしい。
(四国新聞・2025/12/13掲載)

