高松市御厩町にある国の重要文化財「小比賀家住宅」。小比賀家は甲斐源氏武田氏を祖先に持ち、江戸時代に庄屋や大庄屋を務めた家柄。江戸時代初期に建てられたかやぶき屋根の長屋門や主屋は長い時を経て大切に受け継がれ、田園の広がるのどかな景色の中に堂々とした姿でたたずんでいる。


立派な長屋門がひときわ目を引く


 国道11号を車で坂出市方面に進み、県道177号に入ること数分。立派なかやぶき屋根の長屋門が急に目の前に現れる。

 小比賀家の先祖は武田氏の滅亡後、姓を小比賀に変えて四国へ渡り、戦国時代末期には、現在の栗林公園の裏山にあった室山城の城主を務めたという。現在の場所には江戸時代初期に移り住み、庄屋や大庄屋を務めた。住宅は17代目当主の小比賀信茂さん(66)ら家族が、家に住みながら守ってきた。

 重要文化財の長屋門は幅36メートル。午(うま)の方向にあるので小比賀家では「午門」と呼ばれている。馬小屋と牛小屋が備えられ、現在では古い農機具が展示されている。

 小比賀さんの案内で主屋へ。庄屋や大庄屋を務めていた小比賀家の主屋には一般の人たちも訪れるため、入ってすぐのところはたたきになっている。見上げれば太くて黒く光る梁(はり)が見え、400年という長い歴史を感じさせる。その奥の部屋は、小比賀家と同等かもしくはそれ以上の身分の人でしか入れなかったという。


かやぶき屋根の主屋には本瓦ぶきのひさしが付いている


 一番奥にある座敷からは、県の名勝に指定されている池泉回遊式の築山庭園が見える。江戸時代の初期につくられたもので、民家の庭園とは思えない立派さ。出島には「亭(ちん)」と呼ばれる茶席などに使われるあずまやのようなものがあり、全てモロダ(ネズミサシ)の木でできている。庭は作庭家の重森三玲からも絶賛されたそうで、力強い石組みが特徴だ。


力強い石組みと出島にある亭が印象的な築山庭園=いずれも高松市御厩町


 毎月第3日曜日の午前10時から午後4時まで見学可能。入場料は大人500円ほか。問い合わせは高松市文化財課〈087(839)2660〉。

(四国新聞・2019/09/24掲載)

小比賀家住宅


所在地 香川県高松市御厩町331
営業時間 毎月第3日曜日10:00~16:00まで見学可能。
入場料 大人500円/小・中学生300円
TEL 087-839-2660(高松市文化財課)


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