鉄を使った彫刻作品を手がける坂出市の彫刻家さとうゆうじの個展が、香川県高松市高松町の「1つだけ美術館」で開かれている。4畳半の空間にラオスに伝わる精霊の「すみか」をテーマにした作品がたたずみ、神秘的な雰囲気を創り出している。25日まで。


4畳半の空間に展示された作品について解説するさとう=香川高松市高松町

4畳半の空間に展示された作品について解説するさとう=香川高松市高松町


 さとうは高松工芸高校美術科で40年以上講師を務めながら作家活動を展開。約30年前に美術指導のボランティアでラオスを訪問した経験があり、現地の子どもたちに「おばけ」の絵を描いてもらった際、多くの子どもが地元に伝わる精霊の「ピー」を描いたという。
 「人々が里山で暮らす当時のラオスでは、全てのものに精霊が宿ると考えられていた」と語るさとう。「自然を大切にすれば暮らしが栄え、壊せば精霊の怒りを買う。日本人が忘れかけている大切なものを思い出させてくれた」
 作品はそのピーが住む里山をイメージ。渦巻きの形で水や大気の流れを表し、もこもことした全体のシルエットで森を表現した。会場では当時ラオスの子どもたちが描いたピーの絵も展示しており、鑑賞者の想像力を刺激する。
 さとうは「小さな展示空間に浸って、ピーがどんな存在か想像を膨らませてほしい」と話している。入場無料。火曜定休。

(四国新聞・2025/12/18掲載)


1つだけ美術館



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