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手の自由利かずとも… 墨アート自由に 善通寺、樋笠さん個展 障子や自画像数百点
墨で絵画のような作品を制作することで知られる墨アーティスト樋笠幸三さん(85)=香川県善通寺市=の新春特別個展が、香川県善通寺市善通寺町の市観光交流センターで開かれている。障子や屏風(びょうぶ)に描いた大作から、小さな自画像まで数百点を展示。手や肩の自由がほぼ利かなくなった今も意欲的に創作活動を続けており、自由闊達(かったつ)でエネルギッシュな作品が来場者を引き込んでいる。31日まで(火曜休館)。
会場は元料亭で、八百屋でもあった樋笠さんが毎日のように訪れていた思い入れのある場所。昭和初期の建築様式が残る建物に合わせ、作品を展示した。
和室の障子4枚を使った作品は、自宅の障子を移設してきたもの。詩人の故谷川俊太郎さん(2024年死去)が樋笠さんの作品集に寄せた「詩」を、追悼の思いを込めて作品にした。制作に際しては、樋笠さんの手が届く範囲に、3人がかりで障子を動かしてもらいながら仕上げた。
「百面相」と題したユーモラスな似顔絵シリーズは、体が不自由になってから取り組み始めた。手をあまり動かせなくなったため小さなカードをキャンバスに、鏡に映った自分のさまざまな表情を描き残すようにしたもので、展示期間中も増え続けている。百面相を大きく拡大したパネルも、屋外などに設置されている。
樋笠さんの友人たちの作品も展示。写真家の高橋章さん(丸亀市)は、樋笠さんの顔や手を撮影した作品を並べている。彫刻家の大西康彦さん(同)は「墨人・幸三」を出品。ブロンズ製の頭部と木製の胴体を組み合わせたユニークな彫刻となっている。
樋笠さんは「自分にとってアートは遊び。遊びだから楽しく自由にやっている。死ぬまで、はいながらでも作品作りを続けたい」と話している。
(四国新聞・2026/01/10掲載)

