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村川昭和史服装専門博物館(香川県高松市香川町)高度な技術、後世に伝える 素材や縫製、触れて学ぶ
香川県高松市にあった白ゆり服装学院で副学院長を務めていた村川永子さん(87)の作品を集めた「村川昭和史服装専門博物館」(同市香川町)。最近のレトロブームに背中を押され、足を運んでみた。
村川さんは同学院を卒業後、約60年間教壇に立ち続けた。その技術や指導活動が評価され、文部科学大臣表彰や瑞宝単光章叙勲など数々の賞を受賞。そして「昭和の時代から学んできた洋裁技術や歴史を次世代に伝えたい」という思いから、2023年に同館をオープンさせた。
村川さんと、同学院卒業生でスタッフの神野(こうの)伊津子さんの案内で扉をくぐった。
廊下には約100年前の手回しミシンや実際に同学院で使われていたミシンが並ぶ。カーテンを作ったり、革や分厚い生地も縫ったりしたそうで、どれも思い出が詰まったものばかりだ。
現在は秋冬物を中心に展示しており、季節ごとに展示内容を入れ替えている。さらに、生地の質感や縫製の丁寧さを実際に感じてもらえるよう、作品に触れることができるのが特徴だ。
色とりどりの服をまとったトルソーが並ぶ様はまるでブティックに来ているかのよう。鮮やかな赤色が目を引く「ふくれシルク地のスーツドレス」は「八刺し」という芯地を止めるテクニックを使用している。体にフィットするやわらかな仕上がりで、何十年も着続けられる丈夫さも備えているそうだ。ほかにも「鬼ちりめん」という素材のツーピースドレスやリバーシブルのコートなど、量販店ではあまり見られない一点物のアイテムばかりで心が弾む。
奥へ足を進めると、ピンク色とミントグリーン色のドレスが目に飛び込み、思わず「かわいい」と声が漏れた。1988(昭和63)年、同学院の生徒が明治初期の鹿鳴館をイメージして制作したもので、ブレードやレースは手縫いであしらわれたと聞き、時間をかけて作られた作品がいっそう輝いて見えた。
同館ではテーマを変えて企画展を開催。今夏ごろまでは、学生が着物をリメークし、何通りもの着こなしができる作品を見ることができる。
大量生産が可能となった今だからこそ、当時のものづくりの姿勢に目を向けるきっかけになった。
完全予約制のため事前連絡が必要。入館料は大人千円ほか。見学は平日のみ。予約、問い合わせは村川昭和史服装専門博物館事務局〈087-879-6600〉。
(四国新聞・2026/01/24掲載)

