洋画家・猪熊弦一郎が描いたJR上野駅の壁画「自由」にスポットを当てた企画展「上野駅と猪熊弦一郎の〈自由〉」が、香川県丸亀市浜町の市猪熊弦一郎現代美術館で開かれている。「北の玄関口」とも呼ばれる同駅の象徴的存在である作品の「これまで」と「これから」を写真などの資料で紹介している。6月28日まで。


壁画「自由」を実寸大で再現して展示している=香川県丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館

壁画「自由」を実寸大で再現して展示している=香川県丸亀市浜町、市猪熊弦一郎現代美術館


 同作は1951年に制作。敗戦後の暗い雰囲気を払拭しようと、広告代理店の青年が広告を兼ねた壁画の設置を発案したのがきっかけ。猪熊は「毎日駅を通る人たちの生活に、希望と喜びを与えたいと考えて着手した」としている。
 設置場所はコンコースの改札口上部。大きさは幅約27メートル、高さ約5メートルで、同駅が北の玄関口であることにちなみ、リンゴやスキーなど東北や北陸の風物をモチーフにしている。会場では実寸大で壁画を再現。色付けと線画はワークショップに参加した来場者が手がけた。そこに原画を投影して壁画を再現している。
 作品はこれまで3回修復され、昨年5月に始まった3度目の作業が今年3月に完了した。展示写真からは、担当者が壁画を次代に引き継ぐため、終電後の深夜などに緻密な作業を重ねていたことがうかがえる。
 現在、同駅は大規模なリニューアル工事中で、クリエーティブユニット「SPREAD」が同作を起点にした構内施設の内装デザインなどを手がけている。ユニットは作品に用いられている色を採取し、現代的な色合いにアレンジした40色「上野フリーダムカラー」を考案。カラーが生まれる過程を会場で展覧できる。
 担当学芸員は「上野駅に猪熊作品があることを知らない香川の人も多い。同作を知ってもらうとともに、機会があればぜひ駅にも足を運んで実物を見てほしい」としている。
 入場料は一般1500円ほか。問い合わせは同館、電話0877-24-7755。

(四国新聞・2026/05/21掲載)


上野駅と猪熊弦一郎の《自由》



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