優雅な一服でおもてなし―。瀬戸内国際芸術祭2019秋会期の会場になっている観音寺市沖の伊吹島で2日、瀬戸芸作品で交流の場として活用されている「イリコ庵」で島の有志らが野だて茶会をスタートさせた。訪れた観光客らは澄んだ秋空の下、くつろぎながら温かい抹茶に心を和ませた。


瀬戸芸作品「イリコ庵」で、島民が心のこもった抹茶を振る舞った茶会=観音寺市伊吹町


 イリコ庵は2016年の瀬戸芸で建築家集団「みかんぐみ」と明治大の学生たちが出展した作品。素材にはカタクチイワシ漁で栄える島のイリコ加工に使うせいろや石垣、木材などを利用して制作したもので、現在も島民から交流の場として親しまれている。

 茶会は瀬戸芸伊吹島実行委が初企画。メンバーの篠原幸喜さん(58)は「島は急な坂道も多いので驚かれると思う。散策で疲れた体を癒やして、ゆっくりとアートを楽しんでほしい」と開催への思いを説明した。

 この日は、表千家の茶道教室に通う着物姿の女性が伊吹島をイメージした和菓子と抹茶を振る舞った。家族連れらがお点前の豊かな香りと味を堪能したほか、庵から見える燧灘の景色や島の緑の景観を満喫した。丸亀市の藤原淳子さん(62)は「気持ちのこもったお接待に心が休まった。ここからのアングルも素晴らしく、とてもすてきな所」と喜んでいた。

 茶会は今後、9、16、23日の13:00、13:30、14:00からの計3回実施する。参加無料だが1日限定40人を予定。雨天の場合は伊吹公民館で行う。問い合わせは観音寺市商工観光課、電話0875-23-3933。

(四国新聞・2019/10/04掲載)


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