消費税増税に合わせて、高松タクシー協会所属の40社が1日、初乗り運賃を650円から490円に値下げした。1.5キロだった初乗り距離を900メートルにすることで安価での利用を促す「短縮運賃」の試み。各社は訪日外国人客を含め、割高感から敬遠していた人に「ちょい乗り」をアピール、利用増に期待を寄せている。


初乗り運賃が490円に変更となった高松市内のタクシー。料金と距離が記されたステッカーを車両に貼り、周知している


 新運賃は一般的な中型車の場合、初乗り900メートルまで490円で、以降300メートルごとに80円を加算。900メートル以上で570円、1.2キロ以上で650円になる。これまでの料金体系なら初乗り1.5キロまで650円だったので、1.2キロ未満の利用で「お得」になる計算だ。1.2キロ以上はこれまでと変わらない。



 JR高松駅から高松市美術館辺りまでが900メートル。各社は中央通り周辺の企業や商店街、ホテルなどへの利用を想定している。

 四国運輸局によると、高松市内のタクシーの利用者数は右肩下がり。2009年の約514万人から18年は約402万人と、10年間で約2割落ち込んだ。

 高松タクシー協会によると、リーマンショックをはじめ経済の冷え込みがタクシー離れを招いてきた。今回も消費税率の引き上げによる利用者の減少を懸念していたところ、17年に東京で初乗り410円として始まり、注目を集める短縮運賃に着目。四国運輸局の公示を受け、高松タクシー協会の全40社が新運賃を導入した。

 高松タクシー協会は車体に貼るステッカーを作製。これまでは料金のみの表示だったが、距離が短くなった点も知らせるため「900メートル 490円」と表示した。

 営業エリアが市中心部の東讃交通はワンメーター以内の利用者が2割程度と、郊外がエリアの会社より高い水準という。担当者は「近場のときは徒歩やバスでの移動を選択していたビジネスマン、家族連れらにアピールしたい」とする。

 日新タクシーは、外国人を取り込もうと、中国などアジアの観光客に普及するスマートフォン決済に対応した。担当者は「今は瀬戸内国際芸術祭の会期中。日本のタクシーは『安心だけど割高』と感じている層に利用を促したい」と話す。

 高松タクシー協会の寺師大祐会長は「新運賃の認知度はまだ低い。ワンコインを切る料金で使いやすくなった点をしっかり周知し、体感してもらいたい」としている。

(四国新聞・2019/10/04掲載)


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