遠浅の海岸に白い砂浜が続く有明浜(観音寺市)。燧灘には瀬戸内国際芸術祭秋会期の会場にもなっている伊吹島がぷかりと浮かぶ。干潮の時間に砂浜を訪れると、砂と波が織りなす繊細な砂紋も見ることができる。海水浴シーズンも終わった秋の海は静かで、心を落ち着けるのにぴったりだ。


美しい砂紋が広がる有明浜。規則的な模様が面白い


 有明浜は県内有数の海水浴場で、砂浜は約2キロにわたって続く。日本の水浴場88選や日本の渚(なぎさ)百選、日本の夕陽百選などにも選ばれている。

 伊吹島を取材した帰路、瀬戸芸の来場者用駐車場になっている有明浜南側のグラウンドまで戻ると、時刻は午後4時過ぎ。干潮の時間帯が近づいていた。

 砂浜には大きな潮だまりがいくつかでき、家族連れやカップルらが遊んでいる。潮だまりが不規則な模様を描き、ほんのりピンク色に色づいた空を映しているのもきれいだ。


干潮時には大きな潮だまりができる=いずれも観音寺市、有明浜


 有明浜の美しさを形づくるものの一つに、波がつくる砂紋がある。潮だまりの不規則さとは対照的に、等間隔に規則的な模様を描きながら浜全体に広がっている。砂紋を崩すのはなんとももったいなく、砂浜を歩くのにも忍び足になってしまうほど。


海の向こうに見えるのは伊吹島


 海に目をやると、西側には伊吹島が見える。干潮時には消波構造物が姿を現し、風景のアクセントに。夕日が沈む時間帯になれば、島と海が赤く色づく。

 また、有明浜にはハマヒルガオやハマボウフウといった貴重な海浜植物が多く生息しており、植物の群落は観音寺市の天然記念物にも指定されている。美しい海がいつまでも続くようにと祈りながら浜辺を歩いた。

 有明浜に続く松原を散策するのもおすすめ。琴弾公園内には琴弾八幡宮や四国霊場68番札所の神恵院、69番札所の観音寺もある。琴弾山から見晴らす寛永通宝の砂絵も絶景で、何時間いても飽きない場所だ。

(四国新聞・2019/10/08掲載)



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